産業機器デザインの重要性について
私たちは大手・中堅の様々な産業機器メーカー様とプロダクトデザイン・ブランディング UI/UXデザインで協業させて頂いています。それら経験より、産業機器におけるデザインが、昨今になぜ重要視されるのかをお伝えさせて頂きます。
現代の工場では世界的に、よりデザイン性の高さが重視される流れが顕著です。導入される産業機器分野にも今後より一層デザイン性が求められ、その「先進的な機能性能を直感的に伝えるデザイン」が競争において重要な鍵となります。
①経営者の世代交代による価値観の変化
新任の経営者は、自分の色を出し変化を明確にに示したい傾向にあります。特に同族経営での継承の場合、二代目・三代目の経営者の多くは裕福な環境で育ち、ライフスタイルにこだわりがあり、居住空間・インテリア・車・ファッション・家電等、デザイン性の良いものに囲まれている環境で暮らしているため、ものを見るセンスに長けています。自ずと自社の工場に導入する産業機器類も、機能性能や価格に大きな差がなければ、デザイン性が高い製品を選ぶ傾向にあるといえます。
②「見せる工場」というコンセプトの普及
近年は工場見学が産業観光となり、製品や技術のファンを増やす有効な手段であることが認知されてきています。お客様に製品の価値をより認知して頂くことで、B to BやB to Cのビジネス双方において、付加価値が高まり価格競争と一線を画すことができるということが一般認知されました。下記のようにデザインを重視した工場が日本でも多く建設されるようになっています。
それらの効果を踏まえ、やや高価であってもデザイン性が高い産業機器を導入することが賢明と判断されることも増えています。
③環境をかっこよく、快適にすることで優秀な人材を確保
人手不足が顕著な時代において、より優秀な人材を確保することが様々な企業において重要な課題となっています。工場は3Kと呼ばれた時代から大幅にイメージを変える必要に迫られています。
かっこよく働き、快適な環境を整えることは優秀な人材を確保し、離職率を下げるという意味においても重要視されはじめています。
④グローバル競争に勝つために、より優れたデザインと質感が必須
特にヨーロッパメーカーの工場は、文化としての伝統的な流れなのか、デザイン性が非常に重視されています。
また近年では中国の工場においてもそのような傾向が明確です。グローバル競争に勝つためには、美観の備わっている経営者や労働者に受け入れられる必要があります。また、レッドドットデザイン賞・iF デザイン賞をはじめ、世界最高権威のデザイン賞では、ヨーロッパだけでなく韓国・中国の産業機器メーカーの受賞が増えていることに各社のグローバル市場を重視したデザイン戦略が表れています。
⑤テクノロジーとハイスペックを効果的に伝えるためにデザインが重要
どのような分野の製品においても共通することですが、どれだけ先進的な機能や高い性能を誇っていたとしても、見た目が古くデザインが成されていないものでは、お客様にそれらを感じて頂くことができません。見た目に損をしないためにも、機能性能に相応しいデザインによって的確に伝えることが重要です。
⑥商品デザインを基点としたコーポレートブランディングによる社員のモチベーション向上と採用面の効果
商品デザインを基点に、デザインの重要性を取り入れた経営戦略としてコーポレイトブランディングに取り組むことは、社員の皆様が誇りを持って仕事に取り組めるのではないでしょうか。コーポレートブランディングによって、社員の皆様と家族とともに「オシャレでかっこいい」と、自社と自社商品にポジティブな印象を持つと、モチベーションがアップして成果につながっていくことが期待できます。
また、採用面でも効果をもたらし、端的にいえば「この企業で働きたい」と思わせることができる有効な手段です。「社会的に 意義のある」、「価値観を共有できる」、「オシャレでかっこいい」といったイメージができ、「この企業で働きたい」と、多くの 人が憧れを抱く企業になれば、人材が自然に集まりやすくなります。少子高齢化を発端とした労働人口の減少により、人材難は 今後も続くと見られています。人材採用面において、コーポレートブランディングの必要性はますます高まっていくと予想されます。
まとめ
欧米を中心に世界の産業機器メーカーはデザインを重視しており、今や中国のメーカーも国策でデザインを重視しています。産業機器分野において、日本の多くメーカーは、技術と品質は世界のトップクラスにあるにもかかわらず、技術者たちが性能重視で作った結果、こうなってしまったというものになっていることも多く、どんなに中身の機能性が優れていても製品にテクノロジーの先進性を感じないため、グローバル競争では不利になっていることがあります。
先進的かつユーザビリティを追求した筐体のスタイリングと質感、操作系のUI/UXのデザインがとても重要です。実は日本企業の多くがデザインの必要性を感じていない分野こそ、世界ではデザインが活用されており差別化されています。
私たちは大手・中堅の様々な産業機器メーカー様とプロダクトデザイン・ブランディング UI/UXデザインの協業の経験があり、これらの経験よりより多くの企業様の課題解決にお役に立てればと思います。
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